企業のリスクマネジメント
現在企業を取り巻くリスクは社会を取り巻く価値観の大きな変化と民法の大幅な改正に伴う社会の賠償意識の高まりによって、日々大きな変化を遂げています。今後時代を先読みしたリスクの分析とリスク回避の対策及びその後の成果の検証の繰り返しがリスクに強い企業を作り上げる原動力となっていきます。
小國総研株式会社は創業以来20年にわたり企業のリスクと向き合ってきたノウハウを駆使して大切なお客様の財産をお守りします。
リスクマネジメントとは
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リスクマネジメントの必要性
リスクマネジメントとは、リスクを組織的に管理(マネジメント)し、損失等の回避又は低減を図るプロセスをいい、ここでは企業の価値を維持・増大していくために、企業が経営を行っていく上で障壁となるリスク及びそのリスクが及ぼす影響を正確に把握し、事前に対策を講じることで危機発生を回避するとともに、危機発生時の損失を極小化するための経営管理手法をいう。
従来から、企業が意思決定を行う際には無意識のうちにリスクマネジメントを行っていたと思われる。しかしながら、最近では業務の複雑化によりアウトソーシング化が進んだ結果、外注先の業務停止が及ぼす自社への連鎖的影響の拡大や、従業員の法令違反により企業の経営をゆるがすような品質問題の発生等の新たなリスクが顕在化している。以前よりもリスク管理の重要性が増しており、企業がリスクマネジメントを積極的に行うことが求められている。
まず、リスクマネジメントを行う企業の体制はどのようになっているのであろうか。第2-4-9図は、企業のリスク管理体制を企業規模別に示したものである。大企業では「リスク管理を担当する専門部署がある」が18.5%、「リスク管理は総務・企画部門等が兼務している」が66.9%となっており、組織的にリスク管理を行っていることが分かる。他方で、中小企業は「リスク管理を担当する専門部署がある」は僅か3.9%、「担当部署なし」が40.4%となっており、中小企業においてはリスク管理体制が十分に整っていない様子がうかがえる。
まず、企業の事業目的に関連してどのようなリスク要因があるかを発見し、リスクとして特定することが必要となる(〔1〕)。次に、特定したリスクを「リスクの発生確率」及び「リスクが顕在化した場合の企業への影響度」という二つの軸で、企業にとっての重要度を算定する。この二つの軸について定量評価が困難であれば、定性評価により「大」、「中」、「小」に区分する方法が有効である。発生確率と企業への影響度を基準に比較したリスクマップ等を作成し、事業に関わるリスクを整理する(〔2〕)。続いて、〔2〕で算定したリスクを一定の基準に基づいて、対応する上での優先順位を付ける(〔3〕)。リスク対策にはリスクコントロールとリスクファイナンシングの二つの手法があり、更に六つに細分化される(第2-4-11図)。
リスクマネジメントの展開
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リスクマネジメントを実施していく場合、一般的に、
〔1〕リスクの発見及び特定
〔2〕リスクの算定
〔3〕リスクの評価
〔4〕リスク対策の選択
〔5〕リスク対策の実施
〔6〕残留リスクの評価
〔7〕リスクへの対応方針及び対策のモニタリングと是正
〔8〕リスクマネジメントの有効性評価と是正
というプロセスを経ることとなる(第2-4-10図)。
まず、
企業の事業目的に関連してどのようなリスク要因があるかを発見し、リスクとして特定することが必要となる。(〔1〕)
次に、特定したリスクを「リスクの発生確率」及び「リスクが顕在化した場合の企業への影響度」という二つの軸で、企業にとっての重要度を算定する。この二つの軸について定量評価が困難であれば、定性評価により「大」、「中」、「小」に区分する方法が有効である。
発生確率と企業への影響度を基準に比較したリスクマップ等を作成し、事業に関わるリスクを整理する。(〔2〕)
続いて、
〔2〕で算定したリスクを一定の基準に基づいて、対応する上での優先順位を付ける。(〔3〕)
リスク対策にはリスクコントロールとリスクファイナンシングの二つの手法があり、更に六つに細分化される(第2-4-11図)。
リスクコントロールとは、損失の発生頻度と大きさを削減する方法であり、リスクファイナンシングは、損失を補てんするために金銭的な手当てをする方法であり、保険等で第三者に金銭的なリスクを移転する(負担させる)「移転」と、資金の積み立て等を行い、損失を自己負担する「保有」に分かれる。
リスクコントロールにより、損失を削減し、リスクファイナンシングを実行することにより効果的な対策となる。(〔4〕)
選択したリスク対策について、具体的に実現するためのリスクマネジメントプログラムを策定した上で実施する。(〔5〕)
リスク対策実施の結果、残留リスクが当初の意図通り、容認できる水準となっているか否かを評価する。(〔6〕)
定期的若しくはリスクが顕在化し重大な損失が発生したときに、リスクへの対応を見直すことが必要である。(〔7〕)
適切かつ効率的なリスクマネジメントの仕組みが構築・運用されているか否かについて、有効性を評価し、是正する。(〔8〕)
という一連の流れがリスクマネジメントのプロセスである。
このように、リスクマネジメントは組織として取り組むことが求められるが、リスクマネジメント体制の構築により全てのリスクに完璧に対応できるわけではない。リスクマネジメントは企業として持続的発展を続けていく上で障壁となるリスクを把握し、対策を講じることが主眼となる。つまり、全てのリスクを管理するのではなく、経営に大きな影響を与えるリスクに対し重点的に対策を講じることが重要となる。リスクマネジメントを進めていくには経営者のリーダーシップのもと、従業員が目標を共有して取り組むことが必要である。