現在の企業経営は顧客ニーズの更なる多様化と外資企業の参入による激しい競争の中にさらされています。
それに伴い業態のスリム化と得意分野への注力が必要不可欠になり、益々の経営統合と合理化を成し遂げない事には安定した経営は望めない厳しい現状になっています。また中小企業を中心として後継者の不在が企業の深刻なリスクとして、社会的にクローズアップされた問題になりつつあります。そんな情勢下、企業のM&Aは現在では消極的な事案では無く企業の生き残りをかけた積極的な企業経営の必要事案として認識されています。
小國総研株式会社のM&A支援事業は企業と企業を繋ぐ架け橋の役割を果たすべく各分野の有識者との強力な提携でお客様の国際競争力の強化を成し遂げるパートナーとなるべく邁進します。
M&Aとは、「Mergers(合併)」and 「Acquisitions(買収)」の略で、直訳すると「合併と買収」を意味します。
さらにわかりやすく簡単に言うと、「ビジネスの売買(買収)」、「複数のビジネスを一つに統合(合併)」するための手法です。
売り手の会社は、事業承継や資金調達、コア事業への集中、自社の生き残りを目的としてM&Aを戦略的に実行します。
一方で、買い手の会社は事業規模を広げる目的や新規事業の実施を目的として、M&Aを戦略的に実施するのが一般的です。
近年ではM&Aを実行する中小企業は増えてきています。
中小企業がM&Aを行う理由の1つには、事業承継問題を解決するためというものもあるので押さえておきましょう。
高齢化や職業選択の多様化により、近年多くの中小企業が後継者不足に悩まされています。
従来では後継者不足により事業承継出来ない場合には、廃業する選択肢が一般的でした。
これまで培ってきたノウハウや技術が無くなることは、経営者にとって残念な事態です。
また、廃業をするのは従業員や取引先にも大きな迷惑がかかります。
加えて、日本の経済を支える中小企業が減っていくことは、国としても大きな損失です。
しかし、2000年代初頭に大手企業同士のM&Aが頻繁に行われたことを皮切りに、M&Aの有効性が広く知られるようになりました。
しかし、M&Aの目的とは具体的にどのようなものがあるのかまだイメージがわいていない方も多いはずです。
ここで、M&Aの目的について詳しく見ていきましょう。
M&Aを行う目的とはどのようなものがあるのか、ここで確認しておきましょう。
M&Aを行う目的としては、主に以下のようなものがあります。
M&Aを行う多くの企業は、これら3つのいずれかを目的としているのです。それでは、それぞれについて順番に確認していきましょう。
M&Aにおいて買い手で多い動機が、新事業への進出です。 通常、ゼロから新事業を立ち上げるとなると、相応のコストと時間がかかります。 しかし、M&Aであれば、新事業と同じ事業分野の既存の会社を直接買収することで、設備や人員、顧客などを引き継ぐことができるのです。 それによって、新事業を立ち上げる際にかかる負担を大きく減らすことができます。
「M&Aとはどのようなものかニュースくらいでしか知らない」という経営者の方は、大企業が新事業に取り組むために異分野の中小企業を買収する事例を思い浮かべることも多いでしょう。
M&Aで経営再建を目指す会社も多くあります。 とりわけ中小企業は資金や規模の都合上、経営が行き詰まると立て直せなくなるケースが少なくありません。 しかしM&Aで大企業に買収されれば資金面での助けを得られやすくなり、大企業のノウハウを得られるようになります。 大企業のバックアップを得られるようになれば、経営再建も進むようになるでしょう。 売り手にとって業績不振や赤字であることは、M&Aにおいて不利になるようなイメージがありますが、実際はそうではありません。 将来性がきちんとある会社であれば、業績不振や赤字であっても買収されるケースは多いです。
実際に買い手の中には、業績不振になっている会社を率先して買収していることもあります。 もちろんM&Aをきっかけに経営再建を成功させたケースも珍しくありません。
中小企業を中心に、近年は事業承継もM&Aの目的です。 中小企業は経営者が高齢化しているうえに、経営を引き継ぐ後継者不在の会社が増えています。 このような会社は経営者の引退と同時に廃業してしまうケースが多いです。 しかしM&Aによって、第三者に会社を託すことができれば、会社を存続させられるようになるでしょう。 M&Aとは単なる経営戦略というだけではなく、事業の引き継ぎも目的となり得るのです。
以上、M&Aとはどのような意味なのかや、M&Aを行う目的を見てきました。
実際にM&Aをやってみたいとお考えの方も多いはずです。ここで、M&Aの手法とはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
M&A手法の種類とは?3パターンを解説
一般的にM&Aの手法と聞くと、株式譲渡や事業譲渡、合併、会社分割を思い浮かべる人が多いです。
M&Aには、他にもさまざまな手法があります。
例えば、株式の持ち合いもM&A手法の一つです。
株式の持ち合いとは、複数企業が相互に相手企業の株式を持つ手法で、安定株主の形成や敵対的買収の阻止を目的に活用されるM&A手法となっています。
他にも、業務提携もM&A手法の一つです。
業務提携には、製品開発の面で企業同士がお互いに協力することで、単独で事業を行うよりも結果を出せるメリットがあります。
以上の通り、M&Aの手法は一つではありません。
ここでは、特に活用されるケースの多い以下のM&Aの手法とはどのようなものなのかを見ていきます。
それぞれのM&A手法とはどういったものなのか、順番に確認していきましょう。
株式譲渡とは、会社丸ごと売却する際に用いられるM&A手法です。 売り手が所有する株式を第三者に売却し、経営権を譲渡します。 簡潔な手続きで実行できるというメリットから、中小企業のM&Aでは頻繁に用いられる手法です。 ちなみに株式譲渡によってM&Aを行う際には、所得税と住民税が課税されます。 売却代金から譲渡費用等を引いた譲渡所得に対して、所得税(15%)と住民税(5%)が発生するので覚えておきましょう。 ただし上記は株主が個人のケースです。 法人が株主の場合には、会社側に法人税が課税されるので注意が必要です。 また、多くの中小企業は株主を非公開にしています。 そして、非上場企業が株主譲渡する際には注意すべきポイントがあり、時価よりも著しく低い値段で株式譲渡すると税金面で不利になる点には気をつけましょう。 単に安く株式譲渡をすれば節税できるというわけではないので、専門家に相談しながら手続きを進めていくべきです。
事業譲渡とは、会社の一部のみを売却するケースで用いられるM&A手法です。 株式譲渡に次いで、中小企業のM&Aで多用されています。 柔軟に活用できる点が、事業譲渡というM&A手法の大きなメリットです。 売り手側は優先度の低い事業を売却することで、獲得した資金や浮いた経営資源を、主力事業に投下できます。 一方で買い手側にも、欲しい事業のみを買収できるのでメリットは大きいです。 ただし、事業譲渡には大きなデメリットがあります。 それは、「手続きが面倒」である点です。 事業譲渡を実行するためには、株主総会の特別決議や資産・債務の移転手続きなど、多くの時間と手間を要する作業をこなす必要があります。 また、上記の手続きが上手くいかないと、M&Aを実行できないリスクもあります。 つまり事業譲渡とは、メリットとデメリットのそれぞれが多いM&A手法です。
会社分割は、前述した二つの手法とは少々特徴が異なります。 株式譲渡や事業譲渡は、会社や事業の売買を主な目的とした手法でした。 一方で会社分割とは、組織再編を目的としたM&A手法です。 ですが事業譲渡と同様に、会社の一部を売買する目的で活用されるケースもあります。 会社分割には、新設分割と吸収分割の二種類の手法があるので押さえておきましょう。 前者が新しく設立する会社に事業を移転するのに対して、後者は既存の会社に移転する手法です。 事業譲渡とは違い、あらゆる契約をまとめて引き継げるメリットがあります。 ですので、会社分割はより確実にM&Aを実行可能です。 ただし、その代わりに不要資産や簿外債務を引き継ぐリスクがあります。 よって、一概に事業譲渡よりも優れている手法とは言えません。
効果的なM&Aを実施すれば、会社(事業)の売り手も買い手も多大なメリットを享受可能です。 M&Aにはメリットが多いものの、当然ながらデメリットも存在します。 今回はM&Aに介在するメリットとデメリットについて解説します。
M&Aでの売り手のメリットとは、以下のようなものです。 事業承継問題解決 利益の現金化 M&Aの売り手にはどのようなメリットがあるのか、順番に確認していきましょう。
まず挙げられるのが、事業承継問題の解決です。 多くの中小企業では、人材が乏しい理由で、今まで会社を育ててきた創業者の後継者がいないという後継者不足問題が実在します。 後継者不足を理由に会社を廃業してしまうケースも多く、中小企業が長年かけて積み上げてきた技術やノウハウが承継できません。 従業員や取引先にも迷惑がかかってしまいます。 また、経営とは全く無関係の親族に経営を継いでもらい、失敗してしまう可能性も高いです。 M&Aを活用して良い買い手に譲渡した方が、廃業よりも資金を多く得られる可能性も高く、技術やノウハウは無駄にならない上に、従業員の雇用も確保できるためオススメします。
会社の中に重要性が低い事業が存在していたり、今すぐ現金が必要なとき、M&Aによって会社を売却する選択肢があります。 いくらで売却できるかは交渉次第ですが、売却によって、その事業から将来にわたって期待できる利益をまとめて得ることが可能です。まとまった現金を獲得することで、他の重要事業に資金投資できるメリットがあります。 買い手会社から見て自社事業とのシナジー効果がある場合、高額で売却できる可能性が高まりますので適切な売却先探しも重要です。 最初から経営戦略として資金の獲得を目指しM&Aする事例も見受けられます。
M&Aでの買い手のメリットとは、以下のようなものです。 経営戦略としてのM&A M&Aによるシナジー効果 M&Aの買い手にはどのようなメリットがあるのか、順番に確認していきましょう。
近年は、市場の環境が不安定で変化が早いです。競争戦略もスピード重視である方が好ましいです。 市場で勝ち残るために、自社でサービスや商品を一から作り上げていては、スピーディーさに欠けます。 変化が速い今日の環境では、競争に勝ち残ることは困難です。 多大なコストや時間をかけたにも関わらず、上手くいかず費やした時間を無駄にするリスクもあります。 M&Aにより自社に必要な経営資源を獲得することで、時間を節約できるでしょう。 また顧客の早期獲得により、消費者に対してブランドイメージを植え付けられます。 その結果、市場で上位シェアを獲得できる可能性も高まるはずです。
スピーディーな経営戦略を実現可能である点は、M&Aの大きなメリットです。 M&Aにはそれ以外にもメリットがあります。 その一つが、自社の既存事業とのシナジー効果です。 シナジー効果とは、ビジネス同士がくっつく際に、従来持っていた以上の価値が発生する現象のことを意味します。 例えば、鉄道会社が遊園地をM&Aで買収した後に、遊園地近くに駅を作った場合です。 その結果遊園地の存在によって電車に乗る人が増え、駅の存在により利便性が高まり遊園地を利用するお客様が増えます。 以上の通り、お互いに良い影響を与え合うことをシナジー効果といいます。 自社ビジネスとのシナジー効果が高いビジネスを買い取る戦略により、利益を何倍にも向上させることも可能です。
M&Aでの売り手のデメリットとは、以下のようなものです。 従業員のモチベーション低下 売却先が見つからず時間のロス M&Aの売り手にはどのようなデメリットがあるのか、順番に確認していきましょう。
M&Aにより他社から買収されると、労働条件や社風が変わる可能性が高いです。 今までの状況との違いにより、ストレスを感じた結果辞職する従業員が出てくる可能性があります。 また中小企業では、経営者の人柄に惚れ込んで働いている従業員も少なくありません。 経営者が変わると、従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。 環境の変化により、従業員のモチベーションが下がるリスクは、M&Aの大きなデメリットです。 M&Aの成立前に従業員と話し合う事で、不安を取り除いておく必要があります。
非常にメリットの大きいM&Aですが、必ずしも売却先が見つかるとは限りません。 仲介会社を利用したとしても、買い手が100%見つかる訳ではないのです。 また候補が見つかったとしても、交渉が決裂した場合、買い手探しからやり直しになります。 以上の通り、M&Aを成功させることは非常に困難です。 とはいえ、M&Aにより、会社売却できる可能性を高めることはできます。 仲介会社に相手探しを任せきりにするのではなく、自力で買い手探しを並行することも有効策です。 また自社の強みを伸ばし、企業価値を高めましょう。
M&Aでの買い手のデメリットとは、以下のようなものです。 簿外債務や偶発債務 シナジー効果が得られない恐れ M&Aの買い手にはどのようなデメリットがあるのか、順番に確認していきましょう。
M&Aの成立後に、簿外債務や偶発債務が発生する可能性があります。 これらの債務により、M&Aの後に想定外の費用がかかってしまう恐れがあるのです。 このデメリットを避けるためには、デューデリジェンスを徹底的に実施しなければいけません。 もしくは、M&A手法の中でも事業譲渡を活用手段の一つです。 事業譲渡を用いれば個別に引き継ぐ資産を指定できるため、上記のデメリットを遮断できます。
買い手側は、自社事業とのシナジー効果を期待してM&Aを実行するはずです。 しかし、様々な要因によりシナジー効果が発揮しないケースがあります。 シナジー効果が生じなかった場合、M&Aにかかった高額な費用が無駄になってしまうでしょう。 また、のれんの償却費や減損処理によって、さらに費用がかかってしまうデメリットも起こり得ます。 このデメリット(リスク)を完全に遮断するのは不可能です。 したがって、あらかじめシナジー効果が発揮されない事態を想定した上で、M&Aを検討しましょう。